Sakak's Gadget Blog

商店街、街並み、旅先で出会った瞬間を夢中になって撮っています。名古屋。

【ガジェット】生活の全てが可視化される時

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我々は未来を手にするために、何かを失おうとしているのではないか。そういう心配が、どんどん現実的になっていく気がしている。

 

■生活の全てが可視化される時

1日2000枚を自動撮影するクリップ型ウェアラブルカメラ Memoto - Engadget Japanese

これが「進化」の必然か!? 30秒毎に目の前のシーンを撮影し続けるウェアラブルカメラのMemoto登場 | TechCrunch Japan

クリップで服に止めれるようなこの小型のカメラ、30秒に1枚の写真を自動的に撮り続け、内蔵バッテリーで2日4000枚分駆動するらしい。GPSも内蔵。現在の仕様では、USBでデータを取り出してクラウドへアップロードらしいけど、いずれ、通信機能も内蔵されたら、ストリーミング配信とかできるんだろうね。

 

この商品説明の記事を見て「面白いじゃん?TwitterSNSに投稿できる写真が増えるじゃん?便利じゃん?」と思うか「気持ち悪い」と思うか。

 

カメラで撮影しているかどうか、もはや他人からはわかりにくい。この手のひらの小さな箱を体につけたまま公衆トイレに入ってきても、満員電車に乗っていても、映画館に入ってきても、写真を撮っていることに他人は誰も気づかない。そして、カメラを持っている人は移動し続ける。

 

この商品を開発した会社が特別なのではない。ウェアラブルコンピュータという分野は、各社が今もっとも力を入れており、Googleのヘッドマウントディスプレイも、同種の機能を持つだろう。

 

このカメラを作る技術も、インターネットのアプリケーションの技術も、我々人類はすでに手にしてしまった。この会社がこの商品を出さなくても、別の会社が商品化するだろう。

 

■何かを手に入れ何かを失う

我々にできることは何だろうか?技術を向上させることは止められない。その技術をどう使うのかという部分を真剣に考える時がもうすでに来ている。そして、プライバシーをどうやって守るのか。

 

今は、スマートフォンや携帯電話というカタチをしているだけで、もはや、カタチなんてどうでもいい。通信機能が付いたカメラやバッテリーが小型化されたら、生活のすべてが簡単に可視化され、プライバシーは簡単に脅かされる。問題意識を高め、もっと危機感を持つ必要があるだろう。

「歩いてる」「電車に乗ってる」など自動認識、Twitterに投稿する「してるん」 - ITmedia ニュース

そもそも、こういうアプリが出てくるということは、生活を可視化するという遊びがはやっていて、多くの人がそういうものを求めている風潮があるということだ。生活を可視化するという遊びを否定するつもりはないのだが、それにより失うものが何かをどの程度自覚しているのか、を気にしている。

 

■ずっと前から指摘してくれていた

トム・クルーズの「マイノリティー・レポート」という好きな映画がある。その世界観、モーションキャプチャのUIがとても印象的だ。2002年公開(10年以上前!)の映画が、今見てもまったく違和感ない、ぶれてない感覚はどこから来るんだろうと思って、家にあるDVDのProduction Notesを見たら、非常に興味深いことが書いてあったのでここに引用をのせておく(以前のブログ記事の再掲載)。

 

たまたま思いついた未来像ではなく「あらゆる分野の専門が知恵を出し合って2054年を未来視していること」「何が問題になりそうか、みなの意見が一致していること」「その問題が今、すでに起きつつあるという事実」全てが興味深い。

 

2002年公開、映画「マイノリティー・レポート」Production Notesより

「マイノリティ・レポート」のストーリーを、ハイテクの世界を舞台にしたフィルム・ノワール・ミステリーと解釈したスピルバーグは、可能な限りリアルな未来社会を描こうと心に決めた。2054年の世界像を彼なりに築くため、撮影チームや脚本のスコット・フランク、プロダクション・デザイナーのアレックス・マクドウェル等とともに3日間、科学者、都市プランナー、建築家、発明家、作家らの意見を聞き、参考にした。その”シンク・タンク”において、未来は現代に比べどんなテクノロジーが進んでいる可能性があるか、皆で活発にアイデアを出し合った。歯磨きや家の建築、交通手段など様々なテーマについて議論がなされたが、プライバシーが次第に失われていくであろうという意見には、とりわけ全員が同意した。

 

以上。