あらすじ
初めてのMac(Macbook Air)を買いに電気店に行った。店頭で値引きの交渉を終えて「買う」と伝えた直後、電気店の商売上の都合で、過剰な(電気店による)サポートオプション(セキュリティや環境設定)を10分以上にわたり薦められ、買う気がなくなりやめた。電気店には「商品を買うと決めたお客」を取り逃がした重みを感じて欲しい。電気店(リアル店舗)の存在価値とは何なのか?モノを右から左に流すだけならamazonでいいだろう?amazonとの違いをどこで出そうとしているのか?
Macを手に入れようとしたいきさつ
私はPCはWindowsを長年使っており、iPhone/iPadも使っている。Windowsは「創る」ため、iPhone/iPadは「持ち運んだり見たりする」ため。そういう使い分け。Mac(OS)は使ってない。
WindowsとMac、どちらのOSが良いのかなんていう争いは1990年代に終わっていると私は思っている。そもそも、CPUもチップセットも同じintelになってしまった今となっては、ハードだけの性能差はほぼ無い。ハードとOSとのチューニングの差だ。結論としては、使い慣れた方を使えば良い。我々が普段、PCでやっていることは、ほとんどが、Webで始まりWebで終わる。スマートフォンやタブレットOSではアプリで始まりアプリで終わる。どのOSかっていう意識はどんどん薄れていく。
だから、私はオモチャとしてMacを買おうと思ったんだ。買う前から使える自信がおおよそあった。Windowsは日常的に使っているし、Linuxも少し触ったこともある。アプリやWebで完結しているのだから、WindowsユーザがMacに手を出す敷居は低いと考えた。買ったその日からiPhotoとかiMovieで遊んでみたいと思った。バックアップはTimemachineという機能でNASに書き出しておけばいい、くらいの予備知識もある。たぶん大丈夫だろうとふんでいた。しかし、こんなに上がったテンションを、電気店自身が下げることになるとは思わなかった。
某大型電気店Yでの出来事
電気店は、私がお金を払うと言っているのだから、Macを黙って差し出してくれさえすればそれでよかった。「これをください」と私が言った後、販売店員は、私をPCサポートの窓口に連れて行った。私は販売店員から「大事なお話があります」とだけ聞かされた。決済処理だけをするのかと思ったら違った。PCサポート窓口に連れて行かれて、ここで10分以上の説明を聞かされることになる。事前説明もなしにね。
まず、ウイルスワクチン担当がやってくる。Nortonのストラップを首からぶら下げていた(Nortonから派遣された営業か、もしくはY電気のNorton担当)。"Macでもワクチンが必要だ"と私に説く。
担当「今買うと、通常8000円が5000円になりますよ。後からでは高くなりますよ。」
私は「いらない」と答える。
その後、1、2分ほど待たされた後、別の担当者がやってきた。セキュリティ・環境設定オプションの担当者だ。
担当「リカバリメディアは入っていませんよ。ファイヤウオールはオフになっていますよ。Y電気が、セキュリティサポートを用意してますよ。松竹梅コース?2.0万、2.5万、3.5万?・・・ぶつぶつぶつぶつ」
私はこのあたりで、ものすごくめんどくさい気持ちになった。買った後で、設定は自分でどうにでもなると思っていた。それなのに「アレもヤバいぞ」「コレをやっておかないと何かあった時に戻せないぞ」「だからこのサポートを本体購入時にセットで買えよ」って脅された感じだった。Y電気のサポートをオプション購入する気は(最初から)まったく無かったが、それよりも、買った後で、どんな設定が必要かとか、どういう故障のリスクあるか、とか、そんな話ばかりを聞いていたら、だんだん面倒になってきたのだ。オモチャを買うのを楽しみにしていたのに、萎えた。もういいわ、いらん。今日はいらん。
私「いろいろ聞いていたら、私の知らないさまざな設定が必要であることがわかったので、買う気がなくなりました。買うのはやめます。さようなら。」と言い残して帰った。説明していた人は、泣きそうな顔をしていたけど。上司にそう報告していただければいいですよ。
限りなく詐欺に近い
Y電気のこのやり方って、個人的には「限りなく詐欺に近い」と思っている。10人くらい説明したら、1人くらい(もっと?)引っかかるんじゃないかな。WindowsやMacに不慣れな人ほど、引っかかりますよ。あとは、気の弱い人。パソコン関係で必要なサポートは、通常はパソコンメーカーが責任を持ってやると思いますよ。もちろん、多少の手間はかかりますが。ハードの修理も、バンドルソフトのサポートも基本的にPCメーカーですからね。Y電気のサポートに3万円払っても、やってもらるのはセキュリティの設定とか環境設定とかアプリのインストールとかそういうレベルですよ。ハード的に壊れたら、メーカーとのやりとりをしないといけないのは購入者であることは変わりなく。
実際、3万円もY電気に支払って設定をしてもらっても、その後で、故障してリカバリしたら、そこからの設定はまた自分でやるしかないですからね。あるいは、さらに追加で3万円払って電気店に持ち込む?まさか。けっきょく、自分でやった方がいいですよ。自分でやるしかない。できないなら、もっと簡単な、もっと壊れにくいタブレットやスマートフォンにすればいい。
PCメーカーに求めること
これからの 時代に、PCメーカーに求められることって何だろうか?
私はPCがオモチャ感覚で使えることだと思っているんですよ。オモチャのように、道具としては簡易に扱えて、セキュリティとかバックアップとかは、バックグラウンドで確実にシステムが動作するということ。ちょっとした知識があれば、誰でも安全に安心して使えるように、システム設計ができているOSであること。今、そのオモチャに近いのは、MacOSであり、Macというコンピュータだと思います。iCloudとかTime Machineでのバックアップ。これらのソリューションを使って実現するMacを機種変更したときの移行の簡便さ。こういう機能こそが、オモチャ化に必要だと思うのですね。
Windowsはここがまだまだ下手クソで、そこが弱い。だから、そこで商売をする人が現れてきたり、ユーザが苦労したりするわけですね。PCメーカーには、オモチャ化をぜひ実現してほしい。買ってすぐに楽しめるということを、そろそろ真剣に考えてほしい。
電気店に求めること
電気店に求めることは「こんなに楽しく遊べますよ」ってことを伝えること。性能うんぬんは、カタログ見ればわかる。そうではなくて、PCを使って、こんなふうに楽しんでいる人がいます!って伝えること、紹介すること、店頭で実現したりすることじゃないかな?
例えば、写真付きのブログがクールに作れるよ!とか、写真の加工が簡単にできるよ!とか、動画の編集(予告編ムービー)が簡単に、しかもこんなにステキに仕上げられる!とか。つまり、ハードの比較ではなくて、買ってからどう楽しめるか、楽しんでいる例を具体的に示すこと。実演するとか、そういうことができる人が店頭にいること。PCを使って楽しんでいる人、PCのプロを店頭に置くこと。今、いないよね・・・そういう部分に(電気店は)お金を絶対にかけないよね。人件費は削る方向だもんね。バイトしかいない。いや、他社のヘルプ(光回線の営業とか)しか、いない。
カメラやレンズを買う時に、ハードのカタログスペックを眺めてもピンとこないですよね。それよりも、そのカメラやレンズで撮った写真を見てみる。こういう写真が撮れるのかーって感じることができる。それと同じ。PCも、買った後、何ができるのかをきちんと訴求すべきなんですよね。
じつは、これを実践しているのが、Apple Storeなんですよね。ワークショップで、ね。
逆に言えば、こういうことができないなら、もうリアル店舗の電気店なんかいらないですよ。amazonのようなネットショップでもいいし、リアル店舗であるならIKEAみたいな方式で、倉庫で売ればいい。店頭の人件費を極限まで削って、ダンボールを山積みにして売ればいい。
そういえば、1990年代にディスカウントショップっていうのが登場して、既存の電気店を打ち砕いた流れがあったけど、あの頃のディスカウントショップは、ダンボール山積みでしたね。説明員もほぼいなかった。それでも、既存の電気店より圧倒的に安くて、だから、ものすごく売れた。あのタイミングで小さい電気店がいくつも潰れた。ああいう変化が、これから起きると思いますよ。いや、すでに起きている。
モノが好きな人にとってはモノを買うことが祭りでありイベントである
パソコンもタブレットも、もっとカジュアルに手に入れるモノじゃないかな?こわごわして買う必要なるの?買ってすぐに楽しむべきものでしょ?ってのが私の思いです。
買った人に「おめでとう!」って声を掛け合うあのApple StoreやAppBankで見られるような感覚が、やっぱり好きだし、欲しいモノを手に入れたときはうれしいのですよ。ありがとうって言われたらうれしいのですよ。今の電気店に、そういう雰囲気って一切ないですよね。そういうことも含めて、今の電気店は、今の時代の感覚と合ってない気がするんですよね。
サポート担当が私に言い放った言葉が象徴するもの
Y電気店頭で、サポートオプションを説明する店員が私の前に来た時に、私に最初に聞いてきたのは、パソコン、スマートフォン、タブレットは何を持っているのか?だった。私は「Windows数台有り、iPhone・iPad有り、Macは持ってない」と答えた。
そう答えたあとで、セキュリティ・環境設定オプションの担当者が私に言い放った一言が衝撃的だったんですよ。
担当「Macっていうのは、WindowsとiPhone/iPadを足して2で割ったようなものなんですよ~。iPhoneやiPadと似ている部分はあるけど、ちょっと使い方は違うんですよ~。」
これを聞いた時、私は椅子から落ちそうになったよ。「足して2で割ったもの」ってなんだよ、それ?(笑)完全に私はなめられたし、その説明は人をなめているし、その説明は完全に間違っている。
足すとか割るとか、なんだそれ?ってか、PCのことがよくわからない人にとっては、その説明で納得しろということなのか?つまり、「iPhoneやiPadとは似ているけど違うから、オプションに入りなさい」ってことが言いたいんでしょ。
この言葉が象徴するもの。「ちゃんと説明できる人がここにはいない」「とにかく、サポートオプションを払ってくれれば(私達は=電気店は)それでいい」。
この言葉から、電気店が意図することが透けて見えたから、私はこの店での購入を見送った。この店だけの問題ではなく、今、日本中の大型電気店で似たようなことは起きている可能性がある。騙されちゃいけない。余計なものは買う必要がない。
「モノを右から左に流すだけ」以上に、電気店は何を目指すのか?目指さないのか?そろそろはっきりさせないと、電気店は地方から順番に潰れていくだろう。
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■更新履歴
・一部、MacOSの説明・認識に誤りがありましたので訂正(2013.8.12)。
以上。