まるで映画のセットのようだ。ひとごとのようにそう思う。数時間前に自分がそこに立っていたはずなのに。
この目の前に広がる景色は、今日は全てモノクロにしたくなった。現場で、そう決めた。
前回ここに来た時は、張りつめた空気と得体のしれない恐怖に包まれながらシャッターを押していたが、今日は少し余裕があった。この空気に自分をなじませることができた。おそらくそれは、ブログの上で、きなこさんや記事を紹介してくださった方や、コメント欄でメッセージをくれた方たちとのやりとりがあったからだと思う。「覚悟ができた」ということだ。
ホテルの裏側にも少し回ってみた。車1台が通れるような道を少し歩いた。橋からホテルに近づくにつれ、臭いがキツくなっていく。古い家具の臭いというか、そんな感じ。近くを流れる下水の臭いとミックスされて、不快度を増していった。ここに長くいることはできないと感じた。壁面の落書きや不法侵入を警告する張り紙などを確認して、離れることにした。
これだけ緊張感のある場所はなかなかない。恐くもあり、魅力的でもある。新しいレンズやカメラを手にしたら、そのたびにここにやってくるかもしれない。この風景、この建物、この空気、この臭いをどう切り取ることができるか、試したいと思うからだ。
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以上。
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