見過ごせないモノが目の前に現れたので、寒さに震えながらシャッターを押す。
変電所がここにあるのはずっと前から知っていた。知っていたけど、それはただの構造物に過ぎなくて、それはただの背景の1つに過ぎなくて。周りを歩いている人だって、誰ひとり、この変電所を凝視している人はいなくって。
でも、私は今はもう見過ごせない。立ち姿に惚れる。
「鉄塔は絵的におさまりがイイよね」っていう話はたしかにある。でも、もう一つ、私が惚れる要素がある。
それは、たぶん、私が仕事場が好きだからだ。プロの仕事場に惹かれる。プロの道具とか大好きだし、プロが作ったモノ、プロの仕事場、みんな好き。プロフェッショナルの圧倒的な強さって、わかってくると惚れますよ。
この変電所のカタチ一つ一つに意味があって、それは大勢のプロが関わった仕事としての最終形であって。そういうホンモノ感に惚れるんですよ。
また、通りかかったら寄っちゃうかもしれない。
街には興味深いものがたくさん落ちている。面白くてしょうがない。
以上。