写真を撮り始めたという人に、自分の経験を話す時によく言っているフレーズがある。それは「好きな被写体を撮る」こと。
「良い写真を撮りたくて撮る」のか、「撮りたい被写体があるから撮る」のか。似ているようで、じつはずいぶん違う。
その被写体が好きであればあるほど、自分を突き動かすエネルギーが大きい。
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写真が面白いと思うのは、心の内から突き動かすエネルギーの大きさが写真の良し悪しに左右されることだ。私の場合だけかもしれませんが。
気分がのっている時に、思いどおりの、いや、思った以上の写真が撮れることが多い。気分がのるとはどういうことか。その場の雰囲気であったり、その被写体への愛情・愛着であったり、そういう要素が多分にあるのではないか。
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自分の最も近くに、自分が撮りたいと思う被写体がいてくれることをありがたいと思う。その、子供の背中を1年追いかけて、私自身も変化することができた。写真を撮る腕が上がっているのかどうかなんて自分にはよくわからない。ただ、写真を撮りたいという気持ちが下がることがなかったのは、いつもそばにいてくれた好きな被写体があったからだということは、間違いない。
子供の背中を見て、学べることはとてつもなく大きい。子供は親の背中を見て育つというが、同時に、親自身も育てられているのだと思う。
今週のお題「マイベストエントリー」
今年1年、旅行も行ったし、商店街にも通い詰めたし、たくさんの写真を撮ったけれども、自分の中でベストというか、もっとも大事にしたい1枚はこの写真でした。
「もう二度とこないその瞬間を切り取る」という意味を、あらためて考えました。
以上。