Microsoft(以下、MS)から発売予定のWindows8(以下、Win8)の登場は、プラットフォーマー3強(Apple/Google/MS)の均衡関係に変化をもたらす可能性がある。
■MSの製品群に、統一感が生まれようとしている
これらの一連のデバイスに「統一感」が出てきた。ひとつのソリューションとして完成するのだ。Apple製品にはその統一感があり、従来のMS製品や、GoogleのAndroid-OS製品には、それを感じることができなかったものだ。
この統一感は今後のMSの売りになりそうだ。
例えば、友人に「スマートフォンとPCのセット」でオススメを聞かれた時、今までだったら、最初に、Winである必要性を聞き、特に無ければ、間違いなく「iPhone+Mac」だったんだよね。
それが、「Win8+WindowsPhone」という選択肢もありかも、という感じ。
■Win8に統一感をもたらす要素は2つ
1.統一されたUI
Metro UIで、PC~スマートフォン・タブレット~ゲーム~TVまで統一させることの意味は大きい。まずはこういう大きな方針を打ち出してから、アプリケーションは徐々にチューニングし、対応機種を拡大していけばいい。
2.ハードウエアをOSベンダがコントロールする
MSが、Win8(ARMコアのタブレット版)の製造ベンダを絞り込んでいる。製品の品質を高めるため。ARMのチップメーカ(TI、Qualcomm、NVIDIA)と対になっているハードウエアベンダに対しても、UIについて自社カスタマイズを認めずに、MSが画一的なものにさせようとしている。ユーザ視点に立っても、そのほうが良い。AppleやGoogleから学んだ戦い方だろう。
■マルチプラットフォームを意識したMSの変化
Win8は、ユーザアカウント(WindowsliveID)にGoogleやFacebook、Twitter、Flickrなどのアカウントを紐付することで、各種サービスをWin8の窓からアクセスできる。ユーザは行ったり来たりしなくてよい。Win8だけを見ていればよい。Metro UI対応のアプリの画面レイアウトは見やすい。文字サイズや行間のスペースなど。Google+ライクともいえる。
Win8クライアントOSが、ユーザアカウントを「ローカル」から「ネットワーク」に変えたという変化は大きい。WindowsOSが今回のWin8で「何か吹っ切れた?」と感じるのはココ。
ネットワークアカウントを使えば、複数のデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)で、同じ環境で操作可能になる。PCクライアントの立ち位置は、スマートフォンやタブレットと同列まで降りたが、魅力は増した。
MSが「WindowsというPC-OSの会社」ではなくなるキッカケになるのが、このWin8なのではないか?1つのOSに頼っていても、収益は出せないことがわかった以上、プラットフォーム全体で収益を出すという戦略に変えてきているのがわかるし、正しい転換だと思う。
■3強時代の到来
MS(Windows) vs Apple(MacOS)の戦い、というのは過去のもので、今は、MS vs Apple vs Googleという3強の総力戦(プラットフォーマーの戦い)になっていると感じる。
クライアントOSに強みのあるMS、クラウドコンピューティング、データを武器とするGoogle、そして上から下までそろえ先頭をひた走るApple。まず第一幕は、MSとGoogleで、食いつぶし合いが起きるのではないかと思っている。FacebookがMSの味方をしていることも、見逃せない。
Googleのスマートフォン・タブレットには統一感が弱い。そこをMSが追撃する構図になるだろう。Googleがどう出るか、MSのWin8は市場でどう評価されるか。面白い。